一見さんお断り、メニューは「麩もちぜんざい」のみ。元芸妓でちょっぴり辛口の女将・もも吉が営む、京都祇園の甘味処を舞台とした、作家志賀内泰弘さんの作品。
登場人物である主人公・もも吉は、祇園のお茶屋「吉うた」の女将・高安美三子さんがモデルである。
「まずは、甘いものでもおあがりやす」
女将・もも吉の甘味処「もも吉庵」を訪れるのは、舞妓になるために十五歳で祗園へやってきた少女、妻を亡くして一人で京都を旅する中年男性などだ。様々な悩みを抱えた人たちへのもも吉の言葉は、ときに辛口だが、彼らの心を解きほぐしていく。「お気張りやす」の名セリフも見逃せないポイントだ。
京都の四季に彩られた感動の連作短編集。ぜひ、手に取ってみては。
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